漫才コンビ「ピース」の綾部祐二が、テレビで出演している9本のレギュラー番組をすべて降りて、心機一転ニューヨークで活動したい、というニュースを見た。それほどメジャーとは言えない彼の決断は、ファンを始め多くの人たちが「何故?」と思ったに違いない。その昔、「賽は投げられた」という名言を発してルビコン川を渡りローマへと進軍したカエサル・シーザーのように、「もうすぐ40なので」と思い切って決断し、あらたな生き方を選択した彼は、まさに「アッパレ」である。もちろん、英語がまったく話せない、特異な才能も持っているとは思えない彼のこの決断は、無鉄砲だとも思うし、いくら努力したからと言って世界に通用するコメディアンになれるかどうかは甚だ疑問ではある。しかし、これはネガティブな見方かもしれない、ポジティブに考え直してみれば、その無鉄砲なエネルギーでニューヨークの舞台で想像以上の人気を勝ち得るかもしれないのだ。インタビューの中で「芥川賞を受賞した相方からのプレッシャーを感じたのが理由なのか?」という愚問があったが、そんなジェラシーだけを理由に自分の人生の未来を決断したりはしない。現実に彼の持っている9本のレギュラー番組の出演料は年間でン千万円の金額になるだろう。それをあえて捨ててまで決断した綾部祐二のニューヨーク行き、近頃ではあまり見かけないお金に執着せずに「自分の未来に賭ける勇気」を持ったタレントだ。拍手で送りだしてあげたい。