ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

可愛いだけでなく万引きもするうさこちゃん、作者ブルーナのねらい。

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オランダの絵本作家ディック・ブルーナが今年2月に89歳で亡くなった。彼が描いたシンプルなウサギのキャラクター「ミッフィー」の絵本は世界50ヵ国で販売され累計販売部数は1億冊を超えるだろうといわれるほどのスーパー絵本だ。画家マチスの線描にヒントを得たという線描とシンプルな色使いのうさこちゃんの絵本シリーズは世界中の子供達にとって定番のアイドルだ。そのお洒落な絵本の主人公であるうさこちゃんミッフィーが万引きをするという話があるのをご存じだろうか。もちろん万引きしたことを反省し次の日にお母さんと一緒にお店に謝りに行くというストーリーだが、ブルーナは可愛いだけのストーリーだけでは無く、人種差別問題を考えさせる肌の色が違うニーナちゃんを登場させたり、障害を持ったお友達を登場させたり、大好きなおばあちゃんの死をテーマにしたりと、絵本の概念を超えたストーリーを次々に作品にしている。そのねらいは何だったのか?ブルーナ氏と永い親交があるうさこちゃんの日本語訳を手掛けてきた翻訳家松岡亨子さんは「掃除がテーマのシーンでは雑巾で床を拭き、その雑巾を洗濯し、干す所までブルーナは描く」「人の生活を忠実に描くことで子供の心に響く」ことが彼の意図したものだと語っている。そう可愛く生きる事だけが人生じゃない、ブルーナは、子供たちに楽しい夢の世界だけでは無く人生にはさまざまな喜怒哀楽がある事を伝えたかったと言うわけだ。