自殺サイト連続殺人事件の犯人が、警察の取り調べの中で「会ってみると本当に死にたい人は1人もいなかった」と自供していると言うニュース報道があった。我が国の自殺者のうち未成年者の自殺者数は昨年の1年間だけでも2,755人も居た。この中には「本当は死にたくない」と思っていた若者が一体どれぐらい含まれていたのだろうか。1億人の中のたった2,755人の「本当は死にたくない」若い命を何とか救ってあげる方法は我が国には存在し無いのだろうか?オーストラリア政府は日本の自殺サイト殺人事件を見て12年前の2005年にすでに「自殺サイト」の運営を法律で禁止している。それなのに自殺サイトに絡む殺人事件が頻発している日本では相変わらず法的な規制が緩いままに自殺サイトは野放しの状態にある。そして後を絶たない自殺志願の若者たちの傍にいる人々はなぜその事に気付くことができないのだろうか。我が国の現状では若者の自殺対策として総務省がSNSを通じた「自殺予告」の情報をプロバイダーやサーバー運営者に開示することを求める通達を出すという程度のおおまかな規制しか行われていない。なぜ政府主導で自殺サイト運営を禁止する法規制が出来ないのだろうか。また自殺予防の活動で知られる「いのちの電話」も自殺の相談件数が全体の相談件数のうちわずか10%に留まっているというお粗末な現実。自殺サイトを罠にした9人を殺害という猟奇事件にただ茫然自失している今のニッポンは、まさに頽廃の空気が蔓延する世紀末の状態だと言えるだろう。