ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

6年前急逝した中村勘三郎が生前、小朝に語った死の予告。

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先日の笑福亭鶴瓶のテレビの対談番組に出演した落語家春風亭小朝が6年前に急逝した歌舞伎俳優18代中村勘三郎について語ったひとつのエピソードが非常に興味深かった。勘三郎がまだ健康感に満ちていた勘九郎の時代というから勘三郎が急逝する10年以上前の話という事になる。ある晩、小朝が同じ落語家の大先輩ですでに亡くなっている立川談志師匠と当時は勘九郎であった勘三郎と3人で飲んでの帰り道、先輩である談志師匠を自宅まで送り届けた後に小朝と勘九郎の2人で深夜の路上でタクシー待ちをしていた時の話、突然勘九郎が「俺は長生きしないような気がする」とふとつぶやいたのだと言う。小朝は驚いて「エッ?」と聞き返すと勘九郎はあわてて「今の話聞かなかったことにしてください」と言って黙したと言う。その一件からわづか10年足らずで、勘三郎が癌を公表し、入院して半年足らずで帰らぬ人となった時に、小朝はその夜の会話をふと思い出したと言う。番組の中でこの話を聞いていた笑福亭鶴瓶は「そういうことは絶対に口に出して言うたらあかんのや」とやはり勘三郎と親しかった友人としての感想を述べたが、まさにその通りだろう。「自分は長く生きられない」と思った時から死の影が気付かぬうちにその人の背後に忍び寄る、運命と言ってしまえばそれまでだが、鶴瓶が言うように誰しも「自分の命の未来」について軽々しく口にしてはいけ無いのかも知れない、とふと思った。