ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

「謝らなくっていい」ヒールに負けた山中慎介のボクシング最終試合。

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WBC世界バンタム級で王座奪還のためルイス・ネリとの再戦に臨んだ元チャンピオン山中慎介。試合前の計量で相手のネリは2回の軽量でも規定の体重をオーバーし戦う前にチャンピオンベルトを剥奪された。試合前の最終測定でもネリの体重は何と57.5kg、つまり山中選手はスーパーバンタム級フェザー級スーパーフェザー級と3階級も上の体重のネリと戦う事になってしまったのだ。バンタム級スーパーフェザー級の戦いという山中選手にとっては圧倒的に不利な試合だった。試合前のネリは「山中はプレッシャーに弱い。(前回の試合で)私がプレッシャーを掛けると突っ立ってしまい何をしていいのか分からないように見えた。その弱点を突いて勝ちたい」と語っていたネリ。その言葉通り試合開始のゴングがなると3階級も上の体重を乗せた思いパンチがネリが立てた作戦通りに山中選手の顔面をヒットし続けて2Rで4度目のダウンを喫し勝負の決着が着いてしまった。世界バンタム級王座を連続12度も防衛し続けてきた男は勝利の歓喜に湧くネリの陣営に背を向けながらファンに向かって両手を合わせ泣いているような表情を見せた。テレビ解説者がそれを見て「ドラマだったらヒール役のネリが負けるけどボクシングでは勝負の結果がはっきりと出る」と語ったが、勝負の世界は時として残酷な結果をもたらすのが常なのだ。試合後の控室で「これで終わりです」と引退を表明した山中選手。その輝かしい足跡を残してきた12年間のボクシング人生を思えば、ヒール(悪党)に負けたことをファンに対して謝る必要なんてこれっぽっちも無い。多くのファンは負けた山中選手に対して引退後の人生を「笑顔で送ってほしい」と心から願うばかりの筈だから。