ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

「聖者の行進」、実は黒人が亡くなった人を祝福する曲だった。

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明るく賑やかなメロディーで演奏されるジャズのスタンダードナンバー「聖者の行進」。明るいその曲調から日本ではスポーツ応援歌やコマーシャルなどにひんぱんに使われているジャズのスタンダードナンバーだ。しかし、この曲の発祥地アメリカでは、黒人が死んだときの「葬送行進曲」として知られている曲だ。では、なぜ葬送行進曲なのにこれほど賑やかで明るいメロディーなのか。この曲の起源を辿るとその理由がよく分かる。この曲が生まれたアメリカ南部ニューオリンズでは、昔、黒人の奴隷が死ぬと奴隷仲間が集って葬式を執り行う習慣があった。奴隷という一生逃れられない身分であっても死人になれば辛い日々の労働から開放され自由になれる、黒人奴隷たちにとっては死ぬことは「悲しい」ことでは無く、むしろ「おめでたい」ことだったのだ。だからこそ賑やかに明るく束縛から解放された死者の魂を送り出してあげようという黒人奴隷達が生み出したミュージックなのだ。「聖者の行進」の原題は「When The Saints Go Marching in」、この中のSaintsを日本語訳ではキリスト教の「聖者」としているがこの歌の中で歌われる「Saints」はキリスト教の聖者ではなく、黒人社会では死んだ奴隷仲間という意味だ。この曲発祥の地ニューオリンズの黒人社会ではJazz Funeral(ジャズ葬式)という伝統的な風習があり、人が亡くなると墓地にゆくまではおごそかだが埋葬をしたあとは一転して死者の「魂の解放を祝う」明るく楽しいジャズを演奏しながら帰路につくという。「聖者の行進」は、我々日本人には理解するのが難しい黒人奴隷の悲惨な歴史の中から生まれてきた「葬送行進曲」であることをぜひ知っておきたいものだ。