グランドスラムの全仏オープンで錦織圭選手が4年連続でベスト16にまで見事に勝ち上がってみせた。昨年8月に手首を故障しランキングを落としていた錦織が復活を目指して臨んだ今大会は1回戦からの勝ち上がりで、これまで3人を破りいよいよベスト8を掛けた4回戦だ。4回戦の相手は2年連続でベスト4まで勝ち上がっているオーストリアのティエム選手に決まった。ティエム選手は「(錦織は)完全復活に近づいている。タフな試合を楽しみにしている」と警戒心を抱いていると言う。ベスト16進出の3回戦での勝利の決め手は、長いラリー戦で尻上がりに良くなったストロークにあった。錦織のストロークは面白いようにコーナーを突きラインをかすめた。錦織は「そんなに狙って無くてもライン際に吸い込まれていくショットが多かった。心のなかでは『そんなに狙ってないけどな』と思ったりしてましたけど」と試合後のインタビューで語っている。「本人が意図したこと以上のストロークの冴え」。どうやら錦織選手は全仏オープンの舞台で勝利の女神の「前髪」を掴んだのかもしれない。どんなにテニスの技術が高くても「運」を味方にしなければ大きな勝負には勝てない。勝利の女神の「前髪」を掴んだら「決して放してはいけない」という西洋のコトワザを錦織選手は知っているだろうか。そのワケは勝利の女神の後頭部はハゲていて摑めないから(笑)なのだそうだ。錦織選手には勝利の女神の「前髪」をしっかり掴んだままで初のグランドスラム制覇の実現を期待したい。