ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

CATSの「メモリー」、ノーベル賞作家がボツにした詞のリメイクだった。

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ブロードウェイ・ミュージカルで大ヒットしたミュージカルCATS。そのストウリーの原作はイギリスの高名な詩人でありノーベル文学賞を受賞したT.S.エリオットである。エリオットが子供向けに書いた詩集「キャッツ:ポッサムおじさんの猫とつき合う方法」という作品のストウリーを忠実になぞったこの猫を主人公にしたミュージカル、エリオットの子供向けの詩集の原作には、ミュージカルCATSの中で重要な役割を担っている娼婦猫グリザベラは登場していない。どうやら子供向けの詩集ということで作者のエリオットが娼婦猫グリザベラを削除してしまったらしいのだ。しかしミュージカルCATSの中には娼婦猫グリザベラが復活して登場し、そのグリザベラが歌う「メモリー」もまたT.S.エリオットの原詞をアレンジしてラストシーンで初めて歌われたものだった。ミュージカルの中にエリオットの描いた「娼婦猫」と「メモリーの歌」が復活した理由は、T.S.エリオットの死後、ミュージカルCATSの作曲家ロイド・ウェバーがエリオットの未亡人から「娼婦猫グリザベイラ」と題した7〜8行のエリオットが残した詩を渡されたためだった。この原詞をCATSの演出家がアレンジして名曲「メモリー」が誕生したというわけだ。ミュージカルの最後の場面で「明日を見つめ前向きな姿勢で生きてゆこう」と歌う娼婦猫グリザベラ、朗々とそして切々と聴く人の心に響いてくるグリザベラが歌う「メモリー」、20世紀を代表する名曲のひとつと言っても過言ではないだろう。