ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

ビリー・ホリディ「奇妙な果実」作詞作曲は、何と黒人ではなく白人だった。

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黒人への差別を呪いで表現したプロテストソング「奇妙な果実」。ビリー・ホリディの物悲しい歌声とともにアメリカの負の歴史を物語る名曲として知られている。アメリカの黒人音楽であるジャズナンバーを代表するこの曲の作詞作曲は当然黒人の手によるものだと思ったら、実はフランク・シナトラの作品も手がけていた白人作曲家ルイス・アレンの手によるものだった。木に吊るされた黒人の屍を「奇妙な果実」として表現するという衝撃的なあの歌詞もアレンの手によるものだ。「南部の木は、奇妙な実を付ける。葉には血が流れ、根には血が滴る。黒い体は南部の風に揺れる」この詩は、1930年の夏に新聞に掲載された「黒人が木に吊るされ死んでいるリンチ写真」をみて衝撃を受けたアレンが一気に書き上げた詩であり、その後、彼の手によって曲が付けられあの名曲Strange Fruit(奇妙な果実)が誕生したのである。歌手のビリー・ホリディは最初にそのあまりにも陰惨な詩を見せられて、唄ったら必ず失敗すると思ったという。案の定、歌い終わると客席は一瞬シンと静まり返ったが一人の客の拍手をきっかけに客席全体が割れんばかりの拍手に包まれたという。「奇妙な果実」はやがてビリー・ホリディの歌声とともに全米での大ヒットとなり今も黒人差別のプロレテストソングの永遠の名曲として名高い。この曲を作詞作曲した白人ルイス・アレンは、実は黒人と同じアメリカ社会のマイノリティとして差別と戦った歴史を持つユダヤアメリカ人、差別される側の「痛み」を知っていたからこそ、差別を呪う「奇妙な果実」の名曲を生みだすことが出来たと言えるだろう。